夕涼みの庭で

-平屋-

大切に住まわれてきたお家って、家を去った後も、その愛が宿るのかもしれません。
そう感じたのは、この平家を取材したとき。
中に足を踏み入れた途端、不思議と、お家中に家族の笑顔が満ちていた画がふわ〜っと浮かんできたんです。
つい昨日までここで暮らしていたかのような。
きっと丁寧に愛を持って住まわれていたからこそ、今、家主が去った後も、そこに悲しみはなく、むしろ次の家族を温かく迎え入れる包容力をもって佇んでいるように感じるのだと思いました。

そして私が感じたその温かみのわけは、このゆったりとした和風の庭にもあるかもしれません。
平家の軒下から眺めるお庭は、おじいちゃん家を思い出すような、少し懐かさを帯びていて。
きっとこの季節は、窓辺に腰掛けて庭を眺めながら夕涼みをしていたんだろうなぁ。

今はお庭の植栽がけっこう茂っていますが、少し整えてあげれば、目に浮かぶのは悠々とした平家暮らし。
このままでも全然住めちゃいそうですが、床や建具など、気になる部分だけプチリフォームで自分好みに味付けしてもいいですね。

すぐ眼下を山陽電車が通るので電車の音はそこそこするものの、周辺環境も穏やかです。
こだわりの自家焙煎コーヒー店や昔ながらの理容室といった小さな商店がぽつぽつと並ぶ落ち着いた街並みに、なんだか安心感を感じます。

ちなみに、通りからは少し奥まったところに建っていて駐車スペースはないのでご注意を。
ただ駅からは比較的近いので、車に依らない暮らしをする方にはおすすめです。
その立地を活かして、隠れ家的にお店を住み開き、というのもいいかもしれません。

このお家が、これからまた新しい人のもとで愛され、住み継がれていきますように。