まちに開く長屋

在宅で働く人が増えた今、「職住一体」や「居職」という言葉を耳にする機会がぐっと増えました。とはいえ、それを実現できる物件は、まだまだ限られています。

住まいの中に、ちょっとした仕事場や制作スペースを持つことは、通勤の手間やオフィス賃料の負担を省けるというメリットも。
通りにそっと開かれた1階は、自宅の一角を仕事場にしたような、ゆるやかに“まちとつながる”空間。完全に開かれるわけではなく、自分のペースで、暮らしと仕事を穏やかに行き来できそうな場所。
そんなスタイルを実現する選択肢のひとつとして、ご紹介したいのが今回の物件。

木造の一戸建てを、2室のメゾネット型長屋へとリノベーション。無垢の床に、風合いある梁、そしてラフな仕上げの合板の壁。整いすぎてない、ちょっと武骨でラフな質感が、逆に心地よさを感じさせてくれます。

1階は通りに面して開かれた空間で、SOHOやアトリエなど多目的に使えるスペース。　現況は柄のあるシート床が貼られていますが、好みは分かれそうなので、気になる方はラグやシンプルなシートを敷くなど、原状回復が可能な範囲で自分好みに手を入れてみてもいいかもしれません。

2階はコンパクトながら、天井の高い梁が印象的なLDK。ベッドとダイニングテーブルを置けば空間はほどよく埋まるサイズ感で、住まいとしても落ち着きが感じられます。

1階と2階で「職（または趣味の“遊び”）」と「住まい」をゆるやかに分けられるつくりは、気持ちの切り替えにも一役買ってくれそう。

なお、収納は少なめで、立地は坂の上の住宅地。来客用の駐車スペースもないため、不特定多数の出入りがあるような業態にはやや不向きかもしれません。とはいえ、静かに営む仕事場や自分のペースで暮らすには、ちょうどいいスケール感かもしれません。

この長屋を舞台に、「まちに開く暮らし」を始めてみませんか？

※掲載写真はリノベーション竣工時のものです。現在は外観の木部などに経年による劣化が見られます。