書物の海に溺れたい

そんなタイトルをつけざるを得ないような家。潔いってこういうことだなと思いました。振り切っていてめちゃくちゃいいなと。

オーナーが研究者の家をイメージしてリノベーション。とにかく徹底していて壁面は全て棚。玄関、窓、屋根裏にも棚。仮に全て本を入れたとしたら図書館や研究所のような独特の雰囲気になりそう。住居利用で考えると業種が文筆業、研究職の方向けなイメージです。事業利用で考えると私設図書館兼カフェやコレクター向けの物販などでしょうか。

改装にあたり環境面、健康面も意識されていて、杉やヒノキ材の壁や床、塗装にはベンガラ・柿渋などの体にやさしい天然素材を使用しています。使い込んでどんどん雰囲気が良くなっていくのも楽しみな要素のひとつ。また、水にもこだわり、新品の浄水器を設置、さらに配管は衛生的で耐用年数の長いステンレス製という仕様です。床下には竹炭が800kg（!）埋め込まれていて、調湿、防虫、消臭や温度調節機能があるという徹底ぶりがうれしい。

さらに驚くことに玄関に井戸があって、滑車を使って地下水を汲むことができます（断水が続いた阪神大震災の時に近所の方の給水所として大活躍したとのこと）。玄関土間には富士山の溶岩石が配され、檜の扉の雰囲気も良い感じ。キッチンや風呂などの水回り設備は従来のものでキッチン、手洗いの水栓はレトロな仕様に変更されています。

間取りは1Fが玄関とDK、2Fがリビングとサンルームとこちらも振り切った間取り。住居利用は1〜2人向けのサイズです。おや？寝室的な部屋がない？と思いましたが2Fの角に2段ベッドのスペースがあります（これも潔い）。

近隣には昔ながらの喫茶店やスナックがあったり、密かに人気のアパレルショップがあったりして、住宅と昔ながらの店舗が入り混じる面白そうなエリア。駅徒歩圏内ですし、少し歩くと海を一望できる公園があります。 本に限らず、自分の好きなものを詰め込んだ暮らしや個性を活かした事業利用に向いている当物件。あなたならどう使いますか？